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「グレーズ材の使用で

粘膜を傷つける可能性がある? 」


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「グレーズ材の使用で粘膜を傷つける可能性がある?」

 

父は、ある分野で超一流と呼ばれる人間です。

 

私の実家では父親は絶対的な存在であり、

畏怖の象徴であり。

 

また家族全員から尊敬される稀有な存在でした。

 

「クレヨンしんちゃん」などの漫画で

父親の地位が 低く表現されがちなことに対し、

私たち兄妹は幼少の頃より違和感を覚えていたほどです。

 

しかしその分、決して妥協を許さない性格であり、

何か思い通りにいかないことがあると

全て強烈な怒りのパワーに変換させてしまいます。

 

リアルちゃぶ台返しを見たことのある人は、

実際あまりいないのではないでしょうか。

 

そんな「昭和の頑固爺」然とした父齢還暦を超え、

最近僅かに丸みを帯びてきたように感じます。

 

初孫ができたことも起因しているのでしょうか。

もちろん、あまりに尖ったその性格が

父を一流足らしめていたことは間違いありません。

 

ただ、少しくらい丸みを帯びていた方が

孫からは好かれやすいかもしれませんね。

 

 

そんな私が最近気になっているのが、

グレーズ材を使用した際に出来やすい、

補綴装置の鋭縁についてです。

 

メタルクラウンは艶出し研磨をすることで

鋭縁は全て落とされます。

 

築盛型セラミックスクラウンは、

グレーズ焼成時に僅かな丸みを帯びていきます。

 

ところが、フルジルコニア及びプレスセラを

グレーズペーストによって仕上げた場合や、

ハイブリッドレジンを表面滑沢材によって艶出しした場合、

鋭縁がそのまま残り易いのです。

 

鋭縁は、

液体を塗布しても表面張力によって弾かれやすい箇所です。

 

グレーズ材を均一に塗ったつもりでも

局所的に層が薄くなり、角が突き出てしまいます。

 

もちろん、艶出し後に研磨で角を落とすのも

良いのですが…。

 

研磨をしてしまうと角だけグレーズ材が剥がれ、

容易に下地がむき出しになってしまいます。

 

するとプレスセラであれば耐酸性が脆弱化し、

これがレジンであれば界面の劣化を招きます。

 

理想的には艶出し前にしっかりと角を丸めておき、

指の腹で撫でまわして鋭縁が残っていないか

ちゃんと確認しておくべきでしょう。

 

口腔内は粘膜組織につき、非常にデリケートです。

クラウンに尖った部分があると粘膜を傷つけたり、

炎症の原因となる場合もあります。

 

例え咬頭頂やファセットだったとしても、僅かに

丸みを帯びた形状に仕上げるのが理想的です。

 

グレーズ材を使用する際には、特に注意しなければ

いけないところかもしれません。

 

人間は加齢と共に丸くなる傾向にあるようですが、

補綴装置は患者年齢に関わらず、

常に優しい形態にしてあげた方が良さそうです。

 

 

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                  ライター 瀬 直

 

   

 


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