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咬合紙の痕について


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『咬合紙の痕について』

 

作業用模型を咬合器にマウントした後。



両面式の赤い咬合紙を使って咬合調整をすると、

対合歯模型の噛んでいる場所に 赤い色をつけることができます。



そのまま咬合調整を繰り返すと全体的にどんどん赤くなっていくのですが、

ここで疑問がひとつ。

 

石膏模型にこびりついたこの顔料、

反復調整によって顔料が積層された結果、 厚さがでていたりはしないのでしょうか?

 

実験データがないので結論は出せませんが、

顔料が浸透性でなく表面付着物である以上、

理論上は僅かながらも厚さは存在しているはずです。

 

それがどの程度悪影響を及ぼすのかはわかりませんが…

 

 

あまりに顔料が積み重なると、

僅かに咬合が変化するような体感があります。



その為、私は咬合調整量が多くなってきた場合、

定期的に対合歯模型に付着した顔料をティッシュで拭い去るようにしています。



補綴装置の方は摩耗しませんので、調整一回ごとに顔料を拭い去っています。

 

 

尚、対合歯の咬合面部分には損耗防止目的で、高浸透性の表面硬化剤を塗布しています。

この硬化剤、初回塗布時は石膏に完全浸透し、

理論上厚さが全くでない(はず)なので、咬合高径変位は無いものとして考えています。



ただし、石膏はそもそも摩耗に弱い素材なので、 仮に硬化剤を使用していたとしても、

何度も繰り返しゴシゴシやってしまうと咬頭をすり減らしてしまう可能性があります。

 

とりわけ、誤った扱われ方をした

ハイドロコロイド印象による硬石膏模型などは、摩耗に対して非常に脆弱です。

 

言うまでもなく普通石膏模型などは論外です。

指で擦っただけでも表面が劣化します。

 



また超硬石膏であったとしても、 水潤状態では表面硬度が極端に低下しますので、

これも注意が必要です。

 

しっかり乾燥させてから咬合調整に挑みましょう。

 



結局、顔料の積層による咬合高径の変位と咬合面をティッシュで拭うことによる微量摩耗、

双方の優位差は不明です。

いずれにせよ、

なるべく顔料を積層させない様に工夫すること、

対合歯模型を損耗させないよう留意することがとても大切なのではないかと思います。



以上雑記でした。


Grossでは日々、こんなことを考えながらお仕事に励んでおります。

 

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                  ライター 瀬 直

 

 


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