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「診断用wax up」について

 


「診断用wax up」とは?

 


「診断用wax up」を行うことによって、的確な診断を決定するための模型が獲得できます。

また、正確な咬合を採得は、既存の補綴形態決定因子と治療可能性について精密な評価を下すことができる。



診断用wax upは歯科医療の診断手法の1つです。

 

装着予定の補綴装置は診断用模型上にワックスによって作製し、臨床の可能性を示唆します。

そして、患者の希望する審美性と機能を実現するために必要な臨床および技工手順を決定する。

 

04 診断用wax up前後_咬合面観01

図01 診断用wax up前(左)および後(右)

 

 

診断用模型および診断用wax upの概略

 


インプラント支持補綴装置または固定式義歯のいずれも、利用可能なスペースと咬合を診断すること

が重要であると同時に、診断用模型および診断用wax upは治療の予知性を向上させる。

 


診断用wax upは特に、単独歯インプラントの診断および治療に使用できるツールの1つであり、

ワックスまたは人工歯を使用する。wax upは、ある特定の治療法が適切であるかどうかを示唆する

重要な診断情報を提供する。

 

また、適切な補綴方法を選択する手がかりとなり、矯正治療や補綴前手術が必要かどうかを判断する

ことも可能である。

 

診断用模型およびwax upは、補綴装置製作のために利用できるクリアランスを確認し、

補綴用クリアランスを獲得するために対合歯の治療も必要であるかどうかを確認するために有効である。

 

将来的に予定する咬合様式(CR等)を評価し、残存歯にどのような修正が必要であるかを確認することも

できる。

 

加えて、診断用wax upは歯科医師、歯科技工士および患者間のコミュニケーションの手段としても使用する

ことが可能である。

 

01b 正面観01  03c 診断用wax up正面観01

図02a&b 上顎前歯部はクラウン補綴装置とする必要が見てとれる。

下顎前歯部がラミネートべニア等のMI(最小限の侵襲)の観点から修復できるものの、

犬歯部に関しては誘導を司るため、クラウン補綴装置にする、という可能性が明確化される。

 

 

診断用模型およびwax upには、以下の手順が含まれる。


 ・アルジネート印象、咬合採得、必要に応じた写真撮影。


 ・2セットの模型作製、咬合器装着(1つは元の状態の保存用、もう1つはwax up用)。


 ・診断用wax up


 ・歯科医師、歯科技工士および患者間のコミュニケーション、患者に対する治療計画の 3次元的説明。


 ・必要に応じた初期計画による調整


 ・治療計画の規模により、口腔内試適を行うため、歯科技工所に常温重合レジンによるMock up製作


  を依頼することもできる。

 

診断用wax upは、治療用ツールとしても使用することができ、無歯顎領域にインプラントを埋入する場合、

これを利用してX線用およびサージカルステントを製作することも可能である。

 

 

01a 右側面観01  02a 右側面観01

01c 左側面観01  02c 左側面観01

図03a〜d 同じ患者でありながら、CO(左)とCR(右」)の咬合状態はまるで違う!

 

 *注意(図03):COとは「セントリック・オクルージョン中央咬合位を指し、歯牙が最大面積となる

  咬合位で接触し、咬頭と窩が嵌合(CO)した咬合状態である。

 

  一方、CRは「セントリックリレーション中心位」のことであり、両下顎の関節頭が関節窩で

  上前方位にあり、下顎の関節円板上にある位置での下顎位のことを言う。

 

  特に、一口腔内単位で機能性を考える場合、必ずCRでの咬合状態を付与しなければならない。

 

 

06a 右側面wax-up後01  06c 左側面wax-up後

03a 上顎咬合面観  03b 下顎咬合面観

図04a〜d 前歯部は、患者の主訴である「前突した状態」を改善し、的確な犬歯誘導を与えた。

また、臼歯部については、CR咬合で生じた間隙をwax upで埋めただけの状態である。

 

「臨床例01:図01〜04」


 01、咬合の低位によるクリッキングが認められたことにより咬合挙上が必要であると診断する。

    患者は特に、上顎前突を主訴とした。


 02、歯科医師との口腔内所見におけるコミュニケーションを基とする。 最小限度の削除量ということ

    を前提に、どのような補綴物で理想的な口腔状態にもっていくかの考察が必要となる。

 

    この診断用wax upにより、下顎前歯はラミネート でも、審美的な改善が可能であると推測できた。


 03、咬合の再構築(CO → CR)


 04、モデルを削除せず、咬合挙上分をワックス盛り上げ法のみにより、咬合、および、歯冠形態を形成する。

 

 

05d 咬合面観02   06d  診断用wax up_咬合面観

図05 術前               図06 診断用wax up後:

 歯牙32,33,34,43,44部は温存できるものの、31〜42部はラミネートにて補綴することが可能であるなど、

細部、詳細に亘る診断が可能となる。

05a 右側面観02  05c 左側面観02 

 

「臨床例02:図05〜08」


 01、 歯列矯正を取り入れるべく補綴計画を立案したことに立脚した咬合機能および審美性の改善。

 

 02、「臨床例01」 と同様、下顎前歯はラミネートでの改善も可能であると推測できる。


 03、16欠損部は、空隙が少ないので小臼歯形態のポンティックで回復する。   

 

 04、ブリッジによる補綴の予測とその咬合面観。

 

 

05b 正面観02   06b 診断用wax up正面観02

               図07 術前              図08 矯正治療を見据えた診断用wax up


 

 

07 グラフト&デンチャー  

図09 軟硬組織のグラフおよび上顎パーシャル、下顎デンチャーを見越した診断用wax up

 

「臨床例03:図09」


 上図のように、支台歯(インプラントを含む)にグラフトする必要があり、またはデンチャーを装着する必要

 がある場合は、そのグラフト量やデンチャー位置等を確認できるようにパラフィンワックス(ピンク)を使用し、

 診断用wax upを行なう。その際の歯冠部には、通常の歯冠用ワックスや既製人工歯を用いる。

 





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