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★ 補綴用実践的ワックスアップ手順を追う!02★

★これまでは「各種診断用ワックスアップ」に焦点を当ててきましたが、

ここからは実際に補綴物(人工の歯)を作るためのワックスアップ手順を紹介します。

 

 

●まず患者さんの歯医者さんでの『型取り』から模型を製作し、上下顎を咬合器(ヒトの顎と同等、無いしは、

それに似た運動が可能な器械)に装着します。 

この場合、下顎右第二小臼歯欠損でメタルボンド(瀬戸物様でできておりヒトの歯と見分けが付かないような歯)・

ブリッジ用の骨組みを作るための「ワックスアップ」を行います。


●前準備:

・クリアランス(歯を造るための隙間)の確認(上図左)。

 ・ポンティック粘膜面(欠損部)は研磨分を予測してシリコンポイントで一層削ります。

 支台歯のアンダーカット部(ワックスパターンを抜く時の変形の原因となる部分)や平行性をチェックします。





 

★ポーセレンメタルフレーム

 ・ポンティック粘膜面に分離材を塗布せずにシートワックスを圧接し、焼付ける。

 ・その上に分離材を塗布し、シートワックスを圧接する。

 ・支台歯に薄く一層ワックスでコーティング(上図)。

 ・支台歯の隅角をなぞるように均一の量で盛る(下図)。

 ・その間にワックスを均一に埋めることにより、鋳造可能で均一な厚さのワックスコーピングが 容易に得られる。

 マージン部はマージン用のワックスを流す。

   



●セラモメタル用ワックスフレームの完成(上図)
このワックスアップ作業の後、各使用目的の歯科用金属に置き換え、
金属フレームを切削、調整し「セラミックス」築盛、焼成し完成させる(下図)。


img259.jpg
(症例提供 石川県金沢市なぎさ歯科クリニック 船登先生)

●フルメタル・ブリッジ用ワックス形成の完成(下図)。



 

●使用ワックスについて-------

 ・ミリング用のワックスを使用。切削感に優れ、べとつきが無く、切削表面も滑らかである。

 ・半透明ワックスなので透け具合で厚みの確認が可能である。

 ・マージン用のワックス。有機質ワックス(焼却後の残留物が少ない)であることから、

  プレスセラミックにも使用できる。

 ・舌側、カラー部。カントゥアーの立ち上がりの角度は、メタルボンドの完成時に研摩調整できるよう、

  ややオーバーカウントゥアーに設定しておく。

 ・ポンティック相当部にキャスティングワックスを置き、形態を修正し、

  歯間乳頭がわかるようにシートワックスをカットする。

 ・メタルフレーム連結部はメタルの種類によって、調節されなければならないが、

  本症例の様にプレッシャスメタルの場合、最低2,0mmX3.0mm必要である。

 ・クリアランスの少ないケースで連結部が強度不足の場合は、舌側部を補強する。

 ・連結部の形状:頬側部歯間鼓形空隙の付近は、審美性の確保(ポーセレン・スペース)のため、

  大きく開ける。

 ・マイクロスコープ下でマージンをチェックし、支台が模型に戻っているかを確認し、連結する。

 ・スプルーイング。ワックスパターン着脱時の変型防止のため、スプルー植立位置は先ずは両端、

  そして後に中央連結部にワックス連結する。 

 ・ランナーバー(キャスティングワックス・ピンク)の固着。

 ・ワックスパターンはラバーダム等のラバーを用いると変形なく脱着しやすい。

 ・埋没、鋳造。


 

 

詳細については ★花輪容子/大畠一成著:『ワックスアップ』〜これからのスタンダード〜

「機能と審美を追及する臼歯部ブリッジのワックスアップ」、医歯薬出版株式会社、月刊「歯科技工」別冊 

をご参照ください。

 




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