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黄金のキャップ?

  AGC_Kappe-01.jpg  
 

 

AGC【auro galvano crown.Ivoclar Vivadent(Wieland:輸入元;大信貿易)】は、

ゴールド99,98%のキャップであり、マシンによって0.2mm〜0.5mmまでの厚み調節が可能です。

 

下図がその臨床用途であり、生体親和性に優れ、幅広い臨床範囲で適用できる。

マージン調整やポンティック連結を行なった後にセラミックやレジンを前装することも可能です。

また、昨今の超高齢社会に適ったドッペルクローネデンチャーにも最適でしょう。

 

 
 

04la-適応症例.jpg

 

それでは、これらの「ゴールドキャップ」はどう出来上がるのであろう。

そもそも、この製造工程を「エレクトロフォーミング」や「ガルバーノフォーミング」と言い、

専門的には「電鋳」と呼んでいます。

 

ちなみに、「エレクトロフォーミング」とは何かと言いますと……

「電流を使用して金属層の付着を図り、3次元的に造形すること」を指します。

04p-エレクトロフォーミングの理論.png

 

その原理は上図の如く、陰極からゴールドイオンを含む電解液を媒介に陽極へ電流を流すと、

電荷を失ったゴールド化合物が固体「ゴールド」として陰極へ付着する訳です。

この時の陰極での「化学反応式」は、下記のようになります。

        [Au(SO3)2]3- + e- → Au + 2SO3 2-

 

下図左がゴールド電解液(各組成)であり、下図右がその陰極での化学反応です。

04q-AGCゴールド液.png 04r-AGC_Ag付着理論01.png

 

次に、日本に導入されているWieland社の AGCマシンは「AGC Micro」と「AGC Speed」になります。

「AGC Micro」は6支台を6時間で電鋳し、「AGC Speed」が小さな支台であれば、

約1時間でエレクトロフォーミング工程を終了します(下図左)。

 

その審美性はと言えば、下右図左のメタルセラミックと比較して、ゴールドは酸化膜を生成しないため

に下右図の右に見られるように、非常に暖かく明るいセラミック前装等が可能です。

 

ゴールドキャップが作用し、さながらオールセラミックス用の審美性が保証されます。

また、ゴールドは酸化膜を生成しないことからも、オペーク層を薄くでき、

結果として、全体的なクリアランスを少なくできます。

04 AGCマシン.jpg AGCとMBの比較.JPG

臼歯部_AGCブリッジ-b.jpg 臼歯部AGC-A.jpg

 

非常にクリアランスの少ないケースですが、左上図のメタルセラミッククラウン(15,16,17)は若干、

冷たい感がありますが、右図のガルバーノブリッジ(34〜36)は暖かく天然歯の色調にマッチします。 

 

 

では、適合性はどうでしょうか…… 

 

AGC_適合調整-02.jpg 01b-AGC_適合精度.jpg
 

逆トリミングして、マージン調整を行いますが、最終的に非常に精密な適合精度が得られます。

また、パッシブ適合であり、応力の無い適合精度なのです。

 

電鋳工程_AGC-Fulldenture.jpg シルバーラッカー塗布_Fulldenture.jpg
スクリーンショット-2018-04-16-14.50.jpg

 

したがって研磨前ですが、上図のような「ツタンカーメン」のような

フルデンチャー(厚さ:0.5mm)も製作できます。

 

ただし製造元のWieland社は、昨年(2017年)から「Ivoclar Vivadent グループ」の傘下

に入りました。

どれくらいの期間まで、これらのパーツ類および電解液等の供給が続くのか……

はっきり言って、現状では分かりません!

 

 


 



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